忙しい毎日、たくさん寝ても疲れがとれない。
朝から体がおもだるくて、やる気がでない。
そんな時は、仕事や家事のパフォーマンスも下がってしまいますよね。
疲れがとれない原因はさまざま。
その中で共通するのが、「呼吸が浅い」ということ。
特に今はマスクがあるから、よけいに酸素不足になりがちです。
今回は、呼吸が浅いとなぜよくないのか、その理由と、呼吸と心身の関係についてお伝えします。
心と体につながっている呼吸
人の生命活動の恒常機能(体を安定した状態にたもつ機能)の中で、コントロールできるただ一つのはたらきが呼吸です。
他の機能は、自律神経を中心に、内臓機能、血流、血圧、心拍など全て、意志とは関係なく行われます。
暑くなれば汗をかいて冷やそうとする、ウイルスが入ってくれば熱を出す、これらは体が自動で行っていますよね。
また、興奮すると鼻息が荒くなる、ビックリして息が止まる。
山に登ったら気持ちがよくて、自然に深呼吸してしまう。
そんな風に、呼吸は緊張すると、浅く速くなったり止まったりし、リラックスするとゆっくりに。
心や体の状態で、呼吸は自動的に速さ、深さが変化します。
そして、反対に呼吸から心と体をコントロールすることも可能なのです。
自律神経と呼吸の関係
では、なぜ呼吸から体や心の状態を調整できるのでしょうか。
そのカギは、自律神経が握っています。
自律神経は交感神経と副交感神経という、相反する2つの神経から成り立ちます。
交感神経は、緊張やストレスを感じているときや活動期、日中に優位に。
副交感神経は、リラックス状態や夜、寝ている時に優位に。体を回復させる神経なので、内臓機能を元気にしたり、免疫機能を正常にしてくれるのです。
これらは、原始の時代より、人が命を守るために得てきた体のシステム。
例えば大昔、突然ばったり、マンモスと遭遇したとします。
すると、戦うか逃げるか判断するため、体は緊張し、胸はドキドキ、呼吸は荒く、手足は冷たくなります。
脳は興奮し、眠気は吹き飛ぶ。瞬発的に動けるように、筋肉は収縮して、胃腸の機能は抑制されます。
体が緊急事態と判断して、いつでも戦闘態勢に入れるように準備するわけです。
一方、副交感神経が優位になると、血圧は低下し、筋肉は緩み、消化器官は動き出します。
これらの2つの神経のバランスが、健康にはとても重要になってくるんですね。
呼吸が浅いとどうなるの?
呼吸が浅いということは、酸素が深く入っていない、ということ。
栄養は運べないし、エネルギーを作ることもできません。
主な症状は以下の通り。
① 慢性疲労
肺を動かす横隔膜は、血液を流すポンプの手助けをします。
呼吸が浅いと、この動きが小さくなり血流も低下。
酸素や栄養分も運ぶことが難しくなるため、エネルギー不足を引き起こしてしまうのです。
② 睡眠不足
呼吸が浅い時は、交感神経が優位になっています。
交感神経が優位になると、興奮状態になるため、寝つきも悪く深い眠りに入りにくくなります。
すると、常に睡眠不足でスッキリしない状態が続く。
寝ても筋肉に力が入っている、など緊張が抜けないこともよくみられます。
③ 集中力が低下する
呼吸が浅く自律神経が乱れると、脳の酸素不足から仕事のパフォーマンスも低下します。
頭がボーッとする、記憶力が落ちる、ということも起きてくるでしょう。
思考がうまくはたらかない時、集中力が低下している時は、深呼吸を意識しましょう。
④ 情緒不安定になることも
呼吸が乱れると、体は「今危険な時なんだ」と判断し、不安感やイライラなど落ち着きのない状態になりやすくなります。
また、交感神経が優位な状態は、ストレスがかかっている時と同じなので、さまざまな身体症状が。ドキドキして動悸が乱れる、息が苦しい、冷や汗が出る、目眩、喉が渇く、頭痛、などが現れることも。
そんな不調からも、よけいに抑うつを感じやすくなるようです。
深い呼吸で得られるリラックス
呼吸は感情とも深い関係があります。リラックスしている時、ぐっすり眠っている時は、呼吸は深くゆっくりに。
反対に呼吸をゆっくり繰り返すことで、意識的に安定した精神状態に近づくことができます。
脳がスッキリする
体は呼吸を深くすることで血行がよくなり、全身に新鮮な酸素や栄養を行き渡らせることができます。
特に脳は、呼吸が浅いと酸素不足になりやすいのです。
ゆったりした呼吸で脳に酸素がたっぷりいくと、頭もスッキリしてきます。
副交感神経が優位になる
副交感神経が優位な状態になると、心身が落ち着き、リラックス。
血管が広がり、心拍数も落ち着きます。
血圧も安定しやすく、筋肉が緩んで力の抜けた状態に。
新陳代謝、疲労回復、細胞の修復が行われて、免疫力もアップし健康に導いてくれます。
まとめ
私たちは、生まれるときに大きく息を吐きながら泣いて生まれ、なくなる時は息をひきとる、と言います。
それくらい、「息を吐く、吸う」ことは生きる力と密接しているんですよね。
最近、体が不調だな、落ち込みやすいな、と思った時には、ぜひ呼吸を見直してみてください。
深くゆっくりと腹式呼吸をするだけで、全身に活力が戻ってくるのが感じられるのではないでしょうか。
気持ちいい呼吸で、上手にオンとオフの切り替えをしながら、健康に過ごせたらいいですね。
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